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会社員には年1回の受診が義務付けられ、自営業者にも同頻度の受診が推奨される健康診断――。 血圧や尿酸値、中性脂肪値、骨密度など、すべての項目に基準値が設定され、その範囲内に収まらないと、自覚症状がなくても多くの場合、「異常」や「病気」とみなされてしまう。また、そうした基準値や正常値を知ると、ほとんどの人が自分や家族の値が気になり出し、基準値に近づけようと懸命になる。 だが、人間の身体は、基本的にそれぞれ違うものだ。それなのに、腹囲、血圧、血糖値、尿酸値、コレステロール値が基準値より多少高めというだけで、「異常」のレッテルを貼られることに首をかしげたくなる。それまで支障なく生活していたのに、健康診断で異常という結果が出れば、誰もが不安になるだろう。 その後、心配になって病院に行くと、自覚症状がなくても患者として扱われるようになる。また、病院でいったん薬を処方されると、多くの場合、その後ずっと薬をずっと飲み続けなくてはならなくなる。私には、基準値というものが必要以上に多くの人を病人に仕立てあげている気がしてならない。 ...