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宝塚記念、3連覇か奇跡の馬か

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今年の宝塚記念出走予定馬を見てみると、出走を予定している16頭のうち、なんと13頭が社台グループ(社台ファーム、ノーザンファーム、追分ファーム、白老ファーム)の生産馬。うち9頭を占めるのがノーザンファーム生産馬で、春のクラシック戦線でもドゥラメンテ(牡3歳)が皐月賞、日本ダービーを制して牡馬2冠を達成している。セレクトセールの当歳セッションで1億円(税抜き)の評価が与えられたミッキークイーン(牝3歳)は、その評価に違わぬ活躍を見せるかのように、オークスを制した。 しかし、今年の春GIシーズンで見れば、安田記念までの10レース(障害GIは除く)において、社台グループのあげたGI勝利はこの3勝だけであり、日本の馬産の8割を占める日高産馬が底力を見せ、6勝をあげている(残る1勝は外国産馬)。しかも宝塚記念はこの5年で4勝と、日高産馬の活躍が目立っているレースでもある。 史上初の3連覇をかけるゴールドシップ。 その日高産馬躍進の立役者となったのが、今年の2月に21歳の生涯を終えたステイゴールドだろう。この10年でステイゴールド産駒はGIで5勝をあげており、うち3勝が日高産馬となる。そのステイゴールド産駒で、一昨年、昨年と宝塚記念を優勝。今年、史上初となる3連覇を目指すのがゴールドシップ(牡6歳)である。 そのゴールドシップにとって唯一の、そして最大のウィークポイントが、父譲りと言える気性の難しさ。前走の天皇賞・春ではゲートになかなか入ろうとせず、結局は目隠しをされてのゲート入り。レース後、発走調教再審査(ゲート試験)に臨み、見事に合格をしたが、もし、この審査に落ちていれば、宝塚記念の出走は叶わなかった。 鞍上の意に添わない時には、いくら手綱を動かしても進んでいかないレースぶりにも、気性の難しさが現れているが、この辺は現役時、そして種牡馬入り後もやんちゃな性格を見せていたステイゴールドの血が現れていると言える。ゴールドシップを応援してるファンはゲートが開くまで、もしくはゲートに入るまで、その動向からは目が離せそうにない。 震災の日に生まれ、謎の病を乗り越えた「奇跡の馬」。 2011年の3月11日、東日本大震災による揺れが日高地区を襲ったその数時間後に、トーホウジャッカル(牡4歳)は生を受けた。 幸いにも牧場や繋養馬の被害はなく、順調に成長を遂げたトーホウジャッカルは、より競馬に向けたトレーニングを行なうべく育成牧場へと移動。だが、秋開催でのデビューの見込みが立った2歳の夏に、思わぬトラブルが襲う。 夏の暑さやトレーニングの疲れが免疫機能の低下に繋がったのか、原因不明の熱発を発症。何種類もの抗生物質を投与され、また栄養補給も点滴に頼る中、競走馬らしい成長を遂げつつあった中で、一気に50kg程馬体重を減らしてしまった。馬体の回復を待った結果、デビュー時期は、同世代の馬たちが頂点を決めるレースである日本ダービー前日の5月31日までずれ込む。 しかしそこから勝利を積み重ね、その約3カ月後には、GI菊花賞を日本レコードで制覇。デビューから149日目での菊花賞優勝は、史上最短記録ともなった。 レコードタイムにも証明されている競走能力、そして、更なる上積みが見込める4歳馬ということを考えると、この宝塚記念ではより強くなった姿を見せる可能性は残されている。ただ、8カ月の休み明け、しかもいきなりのGIという条件はあまりにも酷である。 過去にはトウカイテイオーが、約1年ぶりの出走となった有馬記念で奇跡の復活を遂げているが、常識的には強豪メンバーが揃うGIで、長期休養明けの馬が勝利をあげるとは考えにくい。しかし、幾多の困難を乗り越えた「奇跡の馬」であるトーホウジャッカルなら、それも可能ではないかとも想像してしまうのだが……。 社台グループは、未来の名牝候補で勝負に挑む。 社台グループの出走予定馬を見ると、牝馬が13頭中5頭と、思った以上に数が多いことに気付かされる。その中にはオークス馬ヌーヴォレコルト(4歳)、秋華賞馬ショウナンパンドラ(4歳)、エリザベス女王杯馬ラキシス(5歳)といったGI馬たちの名前もある。 近年の社台グループの躍進は、こうした牝馬の活躍によるところも大きい。現役時に優れた成績を残した牝馬は、生まれ故郷の牧場へ帰ると繁殖牝馬、つまりお母さんとなる。その優れた能力は、後世へと遺伝され、競走馬として優秀な活躍を残した牝馬が、再び牧場へと戻ってくる。このサイクルを体現したのが、祖祖母ダイナカールから、親子4代でのGI制覇を果たしたドゥラメンテ(牡4歳)となるのだろう。 ただ、'05年のスイープトウショウ以降、宝塚記念では牝馬の勝利はなく、天皇賞・秋、ジャパンCで牡馬を一蹴したブエナビスタも'10年、'11年に2着。昨年の年度代表馬ジェンティルドンナも'13年の宝塚記念では3着に敗れている。未来の名牝候補たちでも、このジンクスを破るのはなかなか大変そうだ。 日高vs.社台、今年の宝塚記念を制するのは? 以上のことを総合すると、やはり本命はゴールドシップとなりそうだ。対抗には今年に入ってから重賞3勝と、芝の中距離で安定したレースを見せているラブリーデイ。データ面では不利な牝馬ではあるが、中山記念で牡馬を退けたヌーヴォレコルト、阪神芝コースでは3戦3勝、しかも末脚はメンバー中随一であるディアデラマドレに注目したい。 「奇跡の馬」トーホウジャッカルだが、個人的には単勝だけを買って応援したい。容姿も「尾花栗毛」という非常に目立つ馬であり、ここで勝利をあげるようだと、これまでのバックボーンも含めて、より注目が集まるはず。ひょっとしたらこの宝塚記念は、「奇跡の馬」が「スターホース」となる、その時なのかもしれない。

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